ふれる、刻まれた神戸の記憶

兵庫運河、湊川隧道、烏原貯水池。
明治における神戸の三大土木事業と称され、
近代神戸の発展を見守り続けてきた遺産たち。
先人の技術と情熱に敬意を払い、
その価値と魅力を未来へつなぐ、
新たなプロジェクトが今、動き出す。

Projects

神戸三大土木事業

烏原貯水池

明治時代、神戸港開港に伴う人口の増加による飲水の確保や、コレラの大流行により、衛生面に配慮した近代水道施設が必要となり、布引貯水池に続いて造られました。
1905(明治38)年に竣工した曲線重力式粗石モルタル積ダムで、日本で4番目に古い重力式コンクリートダムでもあります。1998年には国の登録有形文化財に登録されました。護岸には、水没した烏原村で名産物だった線香の粉を作る際に使用していた石臼が160個埋められています。
貯水池周辺は「水と森の回遊路」として整備されており、ハイキングスポットとしても親しまれ、放水門や締切堰堤、取水塔などの関連施設と自然を一緒に楽しむことができるのも魅力。

烏原貯水池
烏原貯水池
烏原貯水池
Access
〒652-0001
兵庫県神戸市兵庫区千鳥町3丁目
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湊川隧道

現在の東山商店街から湊川公園、新開地を通って海まで流れていた旧湊川。堤防の高さ6~8mもある天井川で、兵庫と神戸のまちを分断していました。さらに大雨が降るたびに水害を起こしていたため、明治後期に付け替え工事が行われました。
川は西向きに進路を替え、会下山にトンネルを通して苅藻川と合流させました。それが日本初の河川トンネル「湊川隧道」です。全長604m、高さ7.6m、幅7.3m。1901(明治34)年竣工。使用された煉瓦は約450万個。完成当時、世界最大規模の河川トンネルでした。
しかし、阪神淡路大震災で一部が崩壊したため、2000(平成12)年にその役割を終え、現在は貴重な近代⼟⽊遺産として、毎月第1・第3土曜日に一般公開がおこなわれています。2019(平成31)年、国の登録有形⽂化財に登録。

湊川隧道
湊川隧道
湊川隧道
Access
〒652-0041
兵庫県神戸市兵庫区湊川町9丁目3-1
Website
https://minatogawa-zuido.com
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兵庫運河

和田岬は波風が強く、船の難所だったため、明治初頭に兵庫運河の築造が計画されました。1875(明治8)年、兵庫の豪商・神田兵右衛門によって新川運河が完成。その後、駒ヶ林の魚問屋・八尾善四郎により1899(明治32)年に兵庫運河全体が完成しました。
しかし船舶の大型化で運河の利用は減少。一方で、周辺に製粉、製糖、油脂、車両、航空機などの工場が林立し、兵庫運河は近代産業の基盤になりました。その後、貯木場としての活用がおこなわれましたが、2005(平成17)年に役割を終了。現在は、アマモの育成や人工干潟でのいきものの生育調査など、様々な取り組みがおこなわれています。
水面積は約34haで日本最大級。和田旋回橋や大輪田橋など貴重な土木遺産も残されており、プロムナードは散歩コースとしても楽しめます。

兵庫運河
兵庫運河
兵庫運河
Access
神戸市兵庫区
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